【著者に聞く】『日本人だけが知らない ドローンとAIの戦争論』の佐藤正久が語る有人兵器の役割
イランの自爆型ドローン「シャヘド136」(写真:Abaca/アフロ)
ウクライナ戦争、ガザ戦争、イラン戦争などを経て、戦争や軍事攻撃にAIやドローンが使われることが当たり前になった。防衛や安全保障、そして戦争という概念は新しいテクノロジーによってどう変えられていくのか。『日本人だけが知らない ドローンとAIの戦争論』(幻冬舎)を上梓した、「ヒゲの隊長」の愛称で知られるノースアジア大学客員教授の佐藤正久氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)
──イランがどのようにしてドローンを活用しアメリカ軍と戦っているのか説明されています。イランの非対称戦・ドローン戦術には、どのような特徴があるのでしょうか。
佐藤正久氏(以下、佐藤):イランの使った兵器では「シャヘド136」が注目を集めました。これは1機500万円ぐらいの自爆型の攻撃ドローンですが、2000キロも飛行します。北海道から熊本ぐらいまで飛べる。
これを撃ち落とすために、米軍は1発数億円する地対空誘導弾パトリオット(PAC-3)や、弾道ミサイルを迎撃する1発20億円以上する地上配備型の弾道ミサイル迎撃システム(THAAD)の迎撃弾など、高価な兵器を大量に使用しました。
撃ち損じがないよう迎撃弾を複数発使うこともあるので、安価な兵器を撃ち落とすために多額の費用がかかることもある。あまりに交換比率が悪く、米軍側は迎撃ミサイルの在庫を大幅に減らしてしまいました。
加えて、イランは非対称戦略として、飽和攻撃や複合攻撃、ホルムズ海峡の武器化も進めました。飽和攻撃は安いドローンを大量に飛ばし、多数の目標を同時に攻撃する方法で、すべてを撃ち落とすことは極めて困難です。一方の複合攻撃は、ドローン、ミサイル、機雷、サイバーアタックなどを組み合わせた攻撃です。
また、ホルムズ海峡の封鎖に加え、サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)など、第三国の石油施設を攻撃することで、こうした国々に米国との関係を続けるべきかどうかを迫りました。
それ以外にも、ホルムズ海峡に集まる海底ケーブルを切断するという脅迫もありました。海底ケーブルは脆弱です。攻撃を示唆するだけで、中東地域を中心に通信や金融決済に大きな混乱が生じる可能性が出るため、関係国は対応を迫られます。
──米軍の迎撃ミサイルの枯渇は、迎撃ドローンの開発が進めば、解消されていくのでしょうか。
佐藤:迎撃ドローンで対応できる部分は増えると思いますが、複合攻撃があるので、すべて防ぐことはできません。弾道ミサイルを現在の迎撃ドローンで落とすことはできませんし、ロシアなどが開発しているジェットタイプの高速ドローンに対応するのも容易ではありません。迎撃ドローンにはまだまだ限界があります。
小野寺五典元防衛相が10月1日に、ウクライナを訪問してゼレンスキー大統領と会談した際に、ジェットエンジンを搭載した新型高速無人機の迎撃システムについて、ウクライナ側から技術協力を要請されたばかりですが、前述の飽和攻撃を考えると、やはりすべてを撃ち落とすことは難しい。このあたりは今後の課題であり、技術のいたちごっこです。
──ゴーグルを装着して遠隔操縦する「FPVドローン」がどのように戦争を変えたのかについて、ウクライナ戦争を例に説明しています。
