ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、2026年F1第19戦メキシコGPでチームメイトとの争いによって勝利を逃したとして、「内部で真剣に話し合う必要がある」と訴えた。一方、シャルル・ルクレールは、両者がミスをした接触を伴わない攻防だったと指摘。「そこまで大きな問題として取り上げる必要はないと思う」と語った。
現地時間11月1日(日)にエルマノス・ロドリゲス・サーキットで行われた決勝で、フェラーリはスタート直後に1-2を築いた。だが、ターン4での攻防によりマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が2台の間に割って入り、最終的に優勝。ハミルトンは0.799秒差の2位、ルクレールは4位に終わった。
開始直後の1-2から暗転、ハミルトンの不満
ポールポジションから出走したハミルトンは開始直後、2番手に浮上したルクレールの仕掛けを凌ぎ、ターン1を首位で通過した。ルクレールはその後、続くターン4に向けて再び仕掛け、アウト側から並びかけたが、両者ともブレーキングを遅らせすぎた。
コース外に飛び出したルクレールは、芝生を横切ってコーナーをカット。ターン5の先でコースに復帰し、首位に浮上した。一方、ハミルトンはターン4の出口で膨らんで勢いを失い、直後にフェルスタッペンの先行を許して3番手に後退した。
スチュワードはルクレールに5秒ペナルティを科したが、ハミルトンはこの裁定にまったく納得していなかった。「問題は、彼がクリーンエアの中を走っていて、[その後方を走行する]僕らのようにマネジメントする必要がない[※オーバーヒートを気にせず全開でプッシュできる]点にある」と無線で訴えた。
ハミルトンによれば、決勝前のドライバーズ・ブリーフィングでは、最初のコーナー群でコースをカットした場合、ポジションを返上するという合意が形成されたという。ハミルトンは繰り返し不満を漏らし続けた。
「事実上、シャルルに勝利を与えようとしている」とスチュワードを批判し、バルテリ・ボッタス(キャデラック)のクラッシュに伴う赤旗中断中にも、「僕らは大きな問題を抱えている。大きな、大きな問題だ」と苛立ちを滲まさた。さらに、レース後にも「昨年、僕は彼と同じ動きで10秒ペナルティを受けた」と述べ、今回の処分の軽さにも疑問を呈した。
27周目、ルクレールはフェルスタッペンと同時にピットインしたが、ペナルティの消化により順位が逆転。その後、ハミルトンは赤旗後のリスタートでルクレールをかわしたものの、最後までフェルスタッペンを抜くことはできなかった。
「本当に厳しい一日だった。今日は勝てるだけのペースがあったと思うけど、そうはならなかった。だから、この件は表に出さず、チーム内部で何ができるかを話し合っていく」とハミルトンは語った。
ルクレール「互いにミス」順位返還に迷い
両者の争いを禁じるチームオーダーはなかった。ルクレールはハミルトンとの話し合いには応じる意向を示したが、今回の攻防を特に重大な問題とは考えていない。
「勝利を懸けて戦っているんだから、彼も僕もほとんど余裕を残さずに走ることになる。結局、ターン4への進入では2人ともミスをした。接触したわけでもない。2人ともコーナーを曲がり切れずに直進してしまって、それによってマックスに追い抜くチャンスを与えてしまった」とルクレールは説明した。
「だから、そこまで大きな問題として取り上げるようなものじゃないと思う。もちろんターン1、2、3では接近していたけど、トップを争う以上、そうなることは予想していた」
ルクレールは、ターン1出口で自身もハミルトンにコース外へ押し出されたと主張。そのうえで、ハミルトンの怒りが自分だけに向けられているのかは分からないと指摘した。
「僕がしたことについて、ルイスが不満を抱いているのかどうかは分からない。というのも、彼の走りもかなり限界ギリギリだったと感じたからね。むしろ、ターン4、5での状況やペナルティも含めて、一連の出来事について腹を立てていたのかもしれない。いずれにせよ、それについては間違いなく話し合うことになる」
ショートカット後には、何らかの対応が必要になると考え、チームに相談したという。ただ、その時点でフェルスタッペンがハミルトンの前に出ていたため、単純にチームメイトへトップの座を返せるような状況ではなくなっていた。
「状況を理解するために、チームと少し話をした。『どうすればいい?』って聞いたんだ。こういう状況はいつも本当に難しい。何かしなきゃとは思うけど、2番手まで下がるべきなのか、それとも3番手まで下がるべきなのか…。結局、そのまま走り続けた」とルクレールは説明した。
自身はペナルティを受け、ハミルトンはフェルスタッペンに抜かれる形で代償を払ったとするルクレールは、処分が十分だったかどうかは議論の余地があるとしたうえで、「次のブリーフィングでは間違いなく、この件が多少なりとも議論の対象になるだろうね」との見通しを示した。
摩擦続く2台、自ら首を絞めたフェラーリ
フェラーリの2人は今季、直接対決やチームの判断を巡って繰り返し摩擦を生じさせてきた。イタリアGPでは、ルクレールがハミルトンをコース外に押し出す場面があった。その前のオランダGPでは、異なる戦略を採るハミルトンを先行させよとのチームオーダーに、ルクレールが従わなかった。
先月のシンガポールGPでも、採用する戦略の違いを背景にハミルトンが順位交代を求めたが、フェラーリは指示を出さなかった。今回は早々に1-2体制を築きながら、その直後のチームメイト同士による攻防でライバルに付け入る隙を与えた。
そのチャンスを勝利につなげたフェルスタッペンは、フェラーリの速さを認めたうえで、次のように振り返った。
「フェラーリは本当に速かった。でも、互いに争ったことで、少しばかり自分たちの首を自ら締めるような形にしてしまったんだと思う。その隙を僕が突いた」
「まあ、僕としては有難いってことだよね?」
