~300時間超の連続操業を実施、累計1,000t超の還元鉄を製造~
日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)は、波崎研究開発センターの試験還元炉(シャフト炉型、炉高約60m、生産能力1t/h、2026年3月運転開始)において、現行の高品位鉄鉱石(直接還元グレードペレット)より低品位な鉄鉱石(高炉グレードペレット)を原料とし、還元材に水素を100%使用した直接還元試験を実施し、300時間を超える連続操業を行うとともに、累計1,000t超の還元鉄を製造しました。
今回の成果は、水素単独による還元反応に伴う吸熱特性と低品位鉄鉱石特有の粉化という技術課題に対応し、安定した還元鉄製造を実現したものです。カーボンニュートラル社会の実現に向けた革新的製鉄技術である「水素による還元鉄製造」の実用化に向け、大きな前進となります。
日本製鉄は、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」に基づき、国の支援(※)を受けながら、 「大型電炉での高級鋼製造」「高炉での水素還元技術」「水素による還元鉄製造」の3つの超革新的技術の開発を推進しています。「水素による還元鉄製造」は、高炉を使用せず、水素を還元材として還元炉で還元鉄(DRI:Direct Reduced Iron)を製造する技術であり、製鉄プロセスからのCO₂排出量を大幅に削減できる革新的技術です。
現在、世界では天然ガスを利用した商用還元炉により年間約1億tの還元鉄が生産されています。天然ガス還元ではCO2が排出されるため、脱炭素化に向けた水素還元技術の開発が求められています。しかし、水素単独による還元は吸熱反応であるため、炉内温度が低下しやすく、安定的な還元操業の実現には炉内温度を適切に維持するための高度な熱補償技術が必要となります。
また、既存の商用還元炉では鉄分含有率が高く不純物の少ない高品位鉄鉱石の使用が前提となっています。 一方で、高品位鉄鉱石の供給には限りがあり、将来的な鉄源確保の観点からは、生産量が豊富な低品位鉄鉱石を活用できる技術の確立が重要です。しかし、低品位鉄鉱石は還元時に粉化しやすく、炉内通気性や反応制御に悪影響を及ぼすため、その利用には大きな技術的課題がありました。
今回、日本製鉄は、水素直接還元時の吸熱反応に対応した最適な熱補償技術と、低品位鉄鉱石の粉化を抑制 する操業技術により、試験還元炉において安定操業を実現しました。

<試験還元炉> <試験還元炉で製造した還元鉄>
日本製鉄は今後も試験還元炉での「水素による還元鉄製造」試験を継続し、直接還元技術の確立と操業条件の最適化を進めます。また、2027年度からはスケールアップ技術を含めた開発を推進し、2040年頃までの実機化技術確立を目指し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。
(※)2022年1月にNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーン イノベーション基金事業に採択され、2023年11月には基金の拡充が決定されました。そのうち 「製鉄プロセスにおける水素活用/水素だけで低品位の鉄鉱石を還元する直接水素還元技術の開発」 については、日本製鉄株式会社、JFEスチール株式会社、一般財団法人金属系材料研究開発センターの3社 によるコンソーシアムのもと、本技術開発を推進しています。
以 上
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