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    重心高いSUVから乗り換えて実感した人馬一体の軽さ。下り坂を駆け抜ける自然吸気の快音

    ボディは塗り替えられ、ピンストライプが引かれた状態で売られていた1991年式。その塗装に惹かれて購入したオーナーは、ヘッドカバーの耐熱塗装から幌カバーの染色、メーターまわりのアルミテープ処理まで自分で作業してきた。使うパーツはすべてネット通販で調達。マツダ「ロードスター(NA)」と過ごす3年を取材した。

    SUVから乗り換えて選んだ1991年式。下りのワインディングで実感した人馬一体の軽さ

    オーナーの野口政幸さんがこの個体にたどり着いたきっかけは、SUVとは別にスポーツモデルを1台持ちたいという思いだった。探していた時期に出会ったのが、1991年式のロードスターである。購入後にはサーキットを走るためのクルマとして、スズキ「カプチーノ」も手に入れている。重心の高いSUVからの乗り換えで、軽量なFRオープンの走りはどう映ったのか。

    「ハンドリングが、楽しいですね。“人馬一体”って言ってるの、そのまんまになっちゃうけど。軽くて、下りのワインディングなんて面白いし。あと4気筒だけど、NAの音がやっぱいいですね」

    ここでのNAは型式ではなく、自然吸気を指している。過給機に頼らず回していく吸気と排気の音が、屋根を開けた状態ではより近くに感じられる。野口さんの1991年式は、1989年9月に登場した初代の前期型にあたる。デビュー当時はマツダの販売チャンネルだったユーノスで扱われ、車名もユーノス・ロードスターだった。

    開発のキーワードは人馬一体。リトラクタブルヘッドライトを備えたボディのフロントミッドシップ位置に1.6リッター直4を積み、トランスミッションは当初5速MTのみ。1990年3月に4速ATが加わった。屋根はソフトトップが標準で、オプションでデタッチャブルハードトップ(脱着できる硬い屋根)も選べた。この1.6リッター車の型式がNA6CEで、1993年7月のマイナーチェンジで1.8リッターへ切り替わってからはNA8Cとなり、1998年1月に2代目と入れ替わるまで販売された。

    ヘッドカバーの耐熱塗装から幌カバーの染色まで。パーツはすべてネットで集めたDIY

    野口さんがこの個体を選んだ理由のひとつは、塗装そのものにあった。購入した時点でボディはすでにオールペン(全塗装)され、ピンストライプが引かれ、テイン製の車高調まで組まれていたという。買った後のカスタムも、そのボディカラーとピンストライプに合わせる方向で進めてきた。ヘッドカバーの耐熱スプレー塗装、インテークパイプのアルミ製への変更、幌カバーの染めQ(素材にしっかり密着し、染めたように着色できる特殊塗料)による染色、内装パーツの取り付け。多くを自分の手で作業している。

    「パーツは、全部ネットで買ってます。ダッシュボードにカバーを敷いて、メーターパネルだけ黒いからおかしいなと思ってカバーをかぶせたんですけど、段ができてイヤだったんで、アルミのテープでラインを貼ってます。そのラインは、フロントガラスの部分に貼ったのが余ったヤツですけどね。あとはトグルスイッチ化して、オーディオはメッキのものがあったからいいなと思って適当に探して、時計もメッキで合わせたくて。笑っちゃうのは、シフトレバーの周りにシルバーのパネルを黒く塗ったやつを付けてるんですけど、上からただ貼ってあるだけで、パネルが浮いちゃってるんですよ」

    室内にはモモのウッドステアリングとバケットシートも収まる。既製品を買ってそのまま付けるのではなく、色や質感を合わせながら、気に入らない部分を手持ちの材料で処理していく。浮いたパネルを笑い話にできるのも、自分で手を動かしてきた人ならではだろう。

    トランクのピンストライプを隠すため断念したダックテール。現状でほぼ完成という結論

    外まわりにも同じ方針が通っている。ホイールはマツダ製のワイヤースポークタイプ、マフラーはショップとのコラボで生まれたHKS製をセットした。ピンストライプに合わせて手を入れてきたとおり、全体はシックにまとまりながら、キャルルックを思わせる空気も漂う。

    当初はダックテールの装着も考えていたそうだ。装着するとトランク部分のピンストライプが隠れてしまうため、こちらは見送っている。足したいものより、気に入って買った部分を残すほうを優先した結果である。

    そうして現在の状態で、野口さんの中ではほぼ完成形だという。ただ、DIY派のオーナーのことだから、また自分で作業したくなる虫がうずく日も来るのだろう。

    購入の決め手になった塗装を軸に、小さな作業を積み重ねてきた1台である。手を加えた箇所のほとんどに、自分で選んで自分で付けた理由が残っている。そうした積み重ねが、年式の古い軽量オープンと長く付き合うための原動力になっている。

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