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ストラティジックデザイナー、多摩美術大学特任准教授
日本を訪れる外国人旅行者が増えている。多摩美術大学特任准教授の佐宗邦威さんは「日本の魅力は、観光名所や伝統文化だけでなく、街の清潔さや丁寧な接客など、日本人が無意識に実践している生活スタイルの中にこそ宿っている」という――。(第2回)
※本稿は、佐宗邦威『ジャパン・アズ・オンリーワン 文化立国としての日本』(PHP新書)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/iam555man
※写真はイメージです
外国人が感動する「日本の当たり前」
4つの日本文化のブランド価値――バラエティ豊かで遊び心のある体験、心が落ち着く体験、健康な暮らし、丁寧な生き方――を外国人が実感するのは、必ず何らかの具体的な体験を通じてだ。
新幹線のホームで乗客が整然と並んでいるのを見た瞬間、街にゴミが落ちていないことに気づいた瞬間、何気なく立ち寄ったスーパーで野菜の美しさに目を奪われた瞬間――日本の提供価値は、そういう日常の中に宿っている。つまり、日本人が意識するともなく実践している生活スタイル――日々の振る舞いや習慣の集積に提供価値が宿っているのだ。
外国人に驚きの目で見られるそれらは、日本では当たり前すぎて、あなたからすれば驚きはないかもしれない。しかしその「当たり前」は、外国人にとっての当たり前ではないことを私たちは忘れがちだ。私たちの生活スタイルに対して外国人が感じるユニークな点を、改めて確認してみよう。
「安全」と「清潔」が観光客を引き寄せる
【安全と清潔――信頼の土台】
外国人が日本を訪れて最初に驚くことの一つが、その安全さと清潔さだ。ローランド・ケルツさんは、アメリカ人にとっての日本のイメージをこう語る。
「銃や暴力がなく、安全な国。そして、とても清潔な国。ゴミがなく、自分たちが使った場所は自分たちで掃除する。文明的に洗練されている印象があります」
これは好意的なステレオタイプでもあると彼は認めつつ、その印象が形成される背景には、世界でウクライナ戦争・イラン戦争などの戦争が起こり、小規模の紛争も増えていく中、宗教的・民族的紛争が少ない日本の現実があると指摘する。
オーストラリアの日本文化研究者のアンさんは、より身近な体験として語る。
「インドの料理は好きだけど、衛生面で不安が残ります。日本は子どもを連れていっても心配がないのがいいですね」
これは日本の街の清潔さが、単なる美観の問題ではなく、安心して旅ができるという根本的な信頼に直結していることを示している。この安全・清潔という基盤は、旅行者が場所を選ぶ際の「最低条件」のように思われがちだが、実際にはそれ以上の機能を果たしている。
安心感があって初めて、人は街に入り込み、偶然の出会いに心を開き、日常の細部に目を向けることができる。日本の安全さと清潔さは、他のすべての提供価値を受け取るための「土台」として機能しているのだ。
