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ストラティジックデザイナー、多摩美術大学特任准教授
立ち食いそば屋でも「おもてなし」
【丁寧なマナー――価格帯を超えた一貫性】
日本を訪れた外国人が一様に驚くのが、日本人のマナーの丁寧さと、それに伴うサービスの質の高さだ。しかしその驚きには、単に「接客が丁寧だ」という以上のニュアンスが含まれている。以前、サッカーW杯のロッカールームが、試合後にきれいに清掃された写真が、SNSにミーム化して流れたのを覚えている人も多いのではないか。
こういう他人に迷惑をかけないようにしようという日本人の感覚は、決して世界において当たり前ではない。前述のアンさんは、ある体験を語る。
「電車の切符を買おうとしてわからずにいたら、駅員の方がブースから出てきて、一緒に買ってくれました」
これはマニュアルによる接客ではない。見知らぬ旅行者の困惑に気づき、自分の時間を割いて手を差し伸べるという、自発的な行為だ。特筆すべきは、この手のサービス精神が価格帯を選ばないことだ。
「ラグジュアリーなホテルのサービスは良いが、一つ星ホテルに行ったらそうでもない」
他の多くの国では、それが当たり前だ。しかし日本では、高級旅館でも、地方のビジネスホテルでも、駅のホームの立ち食いそば屋でも、一定の丁寧さが保たれている。オーストラリアで日本文化・観光のプロモーションを行う長谷川潤さんが「正直で美しく、あり得ないほどかゆいところに手が行き届いたサービス」と形容したこのサービス精神は、外国人にとって最も予想外の体験の一つである。
「おいしい水道水」のありがたさ
【清潔な水と、手間をかけた食材】
「日本に来ると、空気も水もきれいだ」――多くのリサーチ対象者から繰り返し語られたこの言葉は、大気汚染が深刻な都市で暮らす人々にとっていかに切実かを伝えている。特に東京など首都圏に住んでいると水がおいしくないとされるのであまり実感は持てないかもしれないが、水道水はすべての国でそのまま飲めるわけではない。

写真=iStock.com/ArtistGNDphotography
※写真はイメージです
特に日本の水道水は軟水で料理やお茶にも使いやすい。日本の環境品質の高さは際立つ。この良さは、地方に行けばなおさら際立つ。食材についても同様だ。規模よりも質を追求する小規模農家が存在し続けていることが、日本の食材の底力を支えている。
アメリカ人で日本滞在歴が20年を超えるルーカス・BBさんも、母国と比較した日本の生活スタイルの特徴として「野菜や果物がおいしく、手間をかけて作られている」点を挙げる。きれいな水と手間をかけて育てた食材があって初めて、日本食は健康に良いという信頼が成り立っているのだ。
